ゲスト:佛教大学 社会学部公共政策学科教授 谷口浩司さん
京都市における中心市街地の再生や都市の近隣組織について研究しています。研究のきっかけは、本学が西陣の北近くにあり、今まで「ガチャンガチャン」と聞こえていた機織の音がだんだん聞こえなくなってきたなと感じていることでした。本来、西陣は繊維産業の町で京都の代表的な産業地域の一つ。室町と並ぶ一大産業拠点でした。<続く>
☆ 谷口さんの編書:
『変容する西陣の暮らしと町』 法律文化社
◇郊外住宅地と旧市街地
担当:冨家裕久
音声:
☆本日の出演:下村委津子、冨家裕久
谷口さんのお話の続き...
室町は問屋が多い商家的な意味合いのあるまちですが、西陣は織家のまちで、工房的な要素の強いまちになります。最盛期は「ガチャマン」という言葉があるように非常に活発で生産地域も拡大していきました。
しかし、高度成長期の終わりを境に西陣の経済も縮小していきます。考えられる原因にカジュアルとして着物が着られなくなったことがあります。冠婚など「はれ」の日には今でも若者は着物を着ます。やはり若者も着物が良いものだとわかっているのです。しかし普段着で着物を着る人は滅多にいません。
この流れのなかの西陣で生産される帯はさらに品質の高い高級品に特化していき、普段用の商品は見られなくなった。単価の高い高級品を売るために、今度はコストダウンのために地区外で生産することになり、丹後や韓国、中国で生産されるようになりはじめ、西陣での生産が激減しました。空いた工房は取り壊され、駐車場やマンションが建ち西陣のまちが歯抜けの状態になり非常に残念なことになっている。
しかし西陣という地域は歴史も深く、なくしてはならないと考えています。西陣の産業そのものの需要は決してなくならないので、地域とセットで保存を考えなければならない。またカジュアルな商品の生産も再開しなければならない。そして空いた工房には若い人の入居希望が多い。私は西陣の未来に暗いものは無いと考えています。

