■三条の近代建築
ゲスト:京都の近代建築を考える会 宮本和則さん(京都建築事務所)
京都の近代建築を考える会は、1995年、建築好きの市民が、時を経て魅力ある近代建築を残したい、という主旨で集まり活動しています。メンバーは50人前後です。活動は、近代建築ウォッチングや学習会、写真展、京都の近代建築の冊子作成など。
今月6月12日に、三条富小路東「家邊徳時計店」さんを、第一回「市民が選ぶ文化財」に選定しました。国や府など公から文化財と認められた建築物だけではなく、市民の目で見て魅力が愛着がある近代建築物を残してほしい、という思いからです。
三条は昔、メインストリートだっただけあって、多くの近代建築が残っています。建物それぞれの保存の手法は異なります。建物をそのまま残し活用されているもの、ファサードなどの表を一部だけ残したもの、そして本物を模したレプリカ建物など。<続く>
宮本さんのお話の続き...
家邊徳時計店:竣工1890年(明治23年)、煉瓦造り2階建、商店建築。設計者不詳、施工者不詳。
三条通で中心的な近代建築。竣工当時は煉瓦造り3階建で、屋上に時計塔が立つ建物だった。当時、国家予算が3,300万円の時代に総工費1万円。煉瓦はドイツ製。
第一勧業銀行京都支店:本物そっくりのレプリカを造る、という形式を取った。よそから来た人には横を通ったときに「良い建物が残っている」と思わせることが今は出来るだろうが、5年10年と経つうちにレプリカでしかないことを露呈することになるだろう。
平楽寺書店(東洞院三条上る):竣工1927年(昭和2年)、鉄筋コンクリート造3階建、設計・施工:唐木屋工務店。
400年程前に創業した平楽寺書店の、書店兼出版社として建てたもので、文化財の指定を受けている。