■食材とお正月
ゲスト:三条 堺萬 沢野弘武さん
京都は12月13日の事始めからお正月の準備にかかります。百八つ梵鐘を聞いて身を清め、井戸から若水を汲んで神棚にお供えします。その後近くの氏神さんに参ってオケラ火を貰い、頂いた火縄をおくどさんに移して大福茶とお雑煮を作ります。
(写真は、松尾大地、澤野弘武さん、下村委津子アナ)
音声:
大福茶は本来お屠蘇にも入る薬草(山椒、桔梗など)と梅と昆布が入ったお茶で、今よりもう少し苦みのあるお茶でした。お屠蘇も薬草がいろいろ入っており、それぞれの家庭で無病息災を願って頂いたものです。食べることは昔、特に命を守ることですから、語呂合わせだけでなく、様々な願いをかけていました。鏡餅では昆布。喜ぶ以外に無駄無くすべてが栄養になって頂くことが出来る物です。またダイダイは夏にから冬にかけて赤く色づくのですが、木から取らずに残しておくと来年の夏にかけてまた青くなるという不思議な習性があります。ゆずり葉も語呂合わせだけでなく、古い葉が落ちる前に若葉が生えてきます。代を引き継ぎ乍ら成長するのです。言葉にあやかるだけでなく、不思議な習性にもあやかっているのです。最近は言葉だけになってしまって、なぜ?の部分が忘れられていると思います。
本来、京都は海から遠いので、頂く魚はほとんど川魚でした。中でも鯉が重宝されていたようです。鯉は生命力が強く水から上げられていても長く生きることができますし、鯉の滝登りの掛け軸などにもよく見られるように、お祝い事に使われます。鮎は今は初夏のものだと思われているのですが、正月のお祝いの魚で、塩漬けやなれ鮨などで頂きました。誕生から生命が尽きるまでが1年であることから一年魚と呼ばれていました。鯛は交通が発達してからのもので、京都では本来は川魚が主役でした。お正月料理は単なる語呂合わせだけでなく、皆の健康と出世を願い、ガン(願い)をかけた知恵の結集だと思います。

