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2006年05月13日

06年5月13日放送

▼▼構造耐震偽装問題特集▼▼

第2回 構造計算とはなにか


担当 衛藤照夫 小田木洋子 伏木道雄

音声
https://hitomachideaimon0605.up.seesaa.net/image/structure02.mp3

耐震強度が1以下しかないとはなにか
この数値は保有水平耐力に関する数値で、建物の耐震強度の強弱を表し1以上が必要とされる。
現在の建築基準法では、40〜50年間に1度遭遇するかもしれない大規模地震(震度6強から7)に対しては人命に危害を及ぼすような大きな建物の変形などの被害を生じない。また、しばしば訪れる中規模地震(震度5強)に対しては、ほとんど建物の損傷を受けないという考えで建物強度を定めている。このような耐震強度を持つ場合が1.0である。つまり、この数値が1未満であれば計算上右記の性能は発揮できないということである。国交省は耐震強度の指数0.5未満の分譲マンションは使用禁止命令の目安とし建替え支援の対象としている。
これらは設計上の話で、施工が不完全であればさらに強度は落ちてくる。また、古い基準法時代(昭和56年以前)に建てられ現在の基準に満たない建物は、既存不適格建築物といい、かなりの数がある。建築基準法上合法的なものであるが、現在の構造基準には満たない。

震度階
震度5強などの震度階とは、気象庁が発表している、地震の大きさの程度(どれぐらい揺れたか)をあらわす指標値。
1996年(阪神淡路大震災の翌年)に計測震度計により自動的に観測するシステムに切り替わり、同時に、従来の震度階(0から7までの8段階)に「5弱」「5強」「6弱」「6強」を追加した計10段階の分類になった。

結局、安全な建物とは
建物は完璧な機械ではない。材料、施工の誤差や性能のバラツキがある。時間とともに老朽化して強度も低下する。また、地震のように場所により天候によりその影響が千差万別の天災相手。従って余裕を持った設計、計算がなされてきている。超高層の場合は、時刻歴応答解析といって、コンピューターによる詳細なシミュレーションをしており、この場合は究極の判断ができている。一般の建物では安全率をみていて、建物による耐震性能に多少のバラツキがあっても基準内に納まるよう考えられている。先ほどの既存不適格建築物も数多くある割りには深刻な状況にならないのは、この安全率によるところが大きい。従って過剰な反応は無用と思うが、法律の考え方は知って欲しい。大地震に遭遇したときに建物の損傷はあるが、人命は守られるという考え方はあまり知られていなかったと思う。
人間はある意味で確率論の世界で生きている。また、安全性も選択されるものでもある。ある構造設計者が、未曾有の大地震が来て一番先に倒れる建物の設計はしないが、最後まで倒れない建物の設計者にはなりたくないといっていた。これは、安全性と経済性のバランスをいうもので、真実の声と思う。しかし、本来は、この場合も選択で最後まで倒れない建物を望む建築主がいてもよいとは思う。

行政の対応は
基準法や建築士法の改正を想定した国土交通省の社会資本整備審議会は5月24日、耐震強度偽装の再発防止策の検討を再開した。構造や設備など専門分化の資格を設けるかなど建築士制度の見直しや建築主らに対する責任保険加入の義務付けを議論し、8月末に最終報告をまとめる。その後、法律の抜本改正などを引き続き審議する予定である。
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2006年05月06日

06年5月6日放送

▼▼構造耐震偽装問題特集▼▼
   
第1回 耐震構造計算偽装とはなにか




衛藤照夫 小田木洋子 内藤郁子

音声
https://hitomachideaimon0605.up.seesaa.net/image/structure_issue01.mp3


'''建築士が考える耐震構造計算偽装問題―安全な建物に住まうために
あなたは信頼できる建築士をご存知ですか?'''

5月のきょうと・人・まち・であいもんは、「建築士が考える構造偽装問題」シリーズとして、「安全な建物に住まうために」をお送りします。
今回の偽装事件は、私たち建築士としても驚きであり残念なことです。建築に携わるものとしてあってはならないことで、さらにいえばありうるはずがないと考えると同時に、偽装に至る道筋に追い詰められた元建築士が陥った隘路と建築士の覚悟の必要性を感じるのです。
私たち専門家は、社会に向け偽装についての正確で飾らない正直な情報発信と安全な建物の確保に向けての提案を今こそするときと考えます。

第1回 耐震構造計算偽装とはなにか

事件の経過
昨年10月にEホームズが内部監査により姉歯建築設計事務所の偽造が判り国交省に報告し調査が始まった。その後、3月にほぼ全容がわり、調査対象になった 205棟の内、偽装が確認されたものが98棟。震度5強程度の地震で倒壊する恐れのマンションが分譲11棟、賃貸7棟。計506戸の住民が退去。ホテル 33軒が休業した。
分譲マンション11棟について国は自治体が主体となって再建する支援策を策定。しかし、建て替えが正式に決まったのは住民独自案の1棟のみ。その後、偽装はさらに飛び火。九州福岡では2月にサムシングが3棟の偽装の疑い、現在福岡県が350棟を調査。3月には北海道で浅沼2級建築士の偽装疑い、道は118 棟を対象とした。札幌市は33棟で偽装の疑いを確認。4月18日には鹿島が浅沼建築士による問題の賃貸マンション補強のため199戸住民転居を発表。

なぜ見逃されたか

現行法規では、構造計算だけでなく、健康で安全な生活や執務が可能なように建物の最低の基準が決められていて、出来上がった設計図が基準法に適合しているかをチェックする確認申請制度がある。この制度により偽装は見抜かれるはずだが、検査機関が見逃した。検査機関は都道府県や特定行政庁の建築審査部門だが、2000年より民間の指定確認検査機関が認められ、行政より多い件数をこなしている。また、工事中の検査制度があるが、中間時や竣工時の検査でも見逃されている。これを、コンピューター化し複雑化している構造計算方法とそのチェック体制の不備が原因とする考えや、建築技術者は本来まじめで正当なことしかしないという性善説からなる社会の認識が甘かったとする考えなどが言われている。

偽装の背景になにがあるか
建築主であるディベロッパーはスムーズな販売を求め、このために、低コストで工期の短い建物の設計・施工を望む。この要望を受け、コストや工期を達成する目的で建築技術者による偽装が行われた。目的遂行のため、重要な構造計算がなおざりにされた。また、ビジネスホテルも同様で、ホテルの企画から施工、経営指南を総合的に行うコンサル会社の力が強大で、下請体制や設計へ圧力をかけ偽装につながった構図が考えられる。

大きな影響
日本人が持っていた技術者への信頼がゆらいでしまっている点が大きい。ヒューザーは安く広いマンションを都心で提供して大きな評価を得ていた。買主の要望、欲望に訴える商行為で、消費者のニーズに応えるのだとしていた。現実は偽装だったが、そのようなアピールが信じられたのは、安全で合法的な建物を造る技術者は信頼できるという人々の共通理解があったからではないか。この一線を越える過度な要求とそれに応えた技術者がいた事実は重大である。また、その背景には、注意深い技術者なら判ったはずの偽装について、確認申請さえが通ればよいという発想と、設計図通りであれば問題がないという各分野の技術者の判断停止と責任転嫁の発想が見える。
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