ゲスト:京都市景観まちづくりセンター 佐藤友一さん、山本七重さん
大学時代から町家に住みたいと思っていました。春日学区を歩いていると、たまたま借りられそうな町家の「空家」を発見しました。
家を直して暮らすことにし、大家さんの許可もいただきました。これもたまたま、家の路地入り口には材木屋さんがありましたので、そちらに工事方法を教えてもらったり協力してもらいながら、自分たちの手で少しずつセルフビルドでリフォームすることにしました。床下根太から床張り工事、壁の左官など。少々不自由な思いもしますが、徐々にできています。「まだ工事やってるんか」と差し入れをいただいたり、近所づきあいも良くしてもらっています。
春日学区は、地域みんなで助け合う取り組みを全国でも先駆けて行い、全国的にまちづくりで知られた所です。古い木造が多い地域なので、消防団も大切な活動です。これもたまたま、材木屋さんが消防団の団長さんだったこともあり、若いということで、すぐに誘われました。婦人部の活動も盛んです。新しく越してきた住民は、なかなか町にとけ込めない場合が多いですが、ここではお祭りや地蔵盆などでも、まるでずっと暮らしてきた人のように、すんなり町にとけ込めました。
◇どうして手にはいらない?国産材
担当:山本晶三
住宅の工事に際して、造作材や建具材で国産材を使おうとすると、「手に入りません」という現実。輸入材はすぐに使えるのに、なぜ近くにあるはずの杉や桧が使えないのでしょうか。
入手経路がわからない等の流通の問題。それからコストの問題。そして工業製品ではない、生きた素材の持つ特性(反り、割れ、色の変化)があります。このリスクを誰が背負うかというのが、関わる人にとって一番気がかりな点です。