ゲスト:馬場染工業(株) 馬場孝造さん
創業は明治3年で、136年間、ずっと柳水町(三条西洞下る)で店を構えてきました。
黒染めは黒い物をいかに黒くするかということで、一番美しい黒というのはカラスの青みがかった黒といわれており、それには水が命です。明治36年まで、西洞院川が流れていた事と染物に非常にあった成分を含む地下水が出ることもあって、この辺りは染め物屋が非常に多く、ここで吉岡一門が染を行っていたという話があります。13回染めを重ねることによって、黒い染めができ、大変硬い生地になるので、護身用として使われていました。これを剣法染めといいます。
私も52年間この仕事をしていますが、いまだに納得した黒色は出せていないのですが、それほど黒は奥が深いものです。絹は動物性で、蚕が繭を作ることによってできるものでありますが、蚕の健康状態やえさの桑の状態によっても出来映えがが左右されますし、化学繊維とは違って全く同じものはできません。
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