■山鉾町の町家の暮らしゲスト:京町家再生研究会 事務局長 小島富佐江さん
小島さんのお宅は、明治32年築造の通庭が印象的な町家で、道路側の店の間を貸し、その奥の町家で暮らされています。
訪問客は多いほうです。人を寄せる家ですね。来客が予定されている時は、朝は6時くらいに起きてばたばたしています。よその家に呼ばれる時は、京都独特のしきたりがある、などと言われています。ですが、訪問の基本的なルールを守ってもらえれば、誰でも拒みません。
基本的なルールとは、京都の人だと子供時代におばあちゃんや親からうるさいくらい注意され、身についていることですが、よそさんにお邪魔するときは、まず雨の日にはよその家に上がらないようにする。それから、ズボンはもってのほかで、替えのソックスや厚手のタオルを持参すること。現代は、よその家も特別な意識無く、無神経にあがる子が多いですね。自分の家ですること、してはいけないことを考えるべき、などと小言を言うときりがないです。
町家暮らしの歳時記は、1月:お正月、2月:節分、3月:お彼岸、4月:おひな祭り、5月:お節句、6月:庭、7月:祇園祭、8月:お盆、9月:お軸、10月:お月見、11月:お茶、12月:年の暮れの大掃除お正月のしたく。しきたりは大事に引き継いでいきたいです。お祝いは、一月前の大安の午前中に目録付けを行うとか。1と15はあずきを、際の日には、借金がからになるといい「おから」を食べる。このようなしきたりの背後にある気持ちを、引き継ぎたいです。
※小島さんの著書:
京町家の春夏秋冬 -祇園祭 山鉾町に暮らして- 文英堂◇建具替え担当:衛藤照夫
町家の建具や敷物を、着物の衣替えのように、冬用から夏用に替えること。冬座敷から夏座敷へ。建具:襖、障子を葦戸に。敷物:網代、戸むしろを敷く。簾:すだれを吊るす。
「家は夏を旨とすべし」と徒然草にあるように、風が通り、日差しを遮る家が、町家として住み継がれてきました。通り庭、中庭など京町家の配置には長年の知恵の積み重ねがあります。葦戸や網代、戸むしろは最たるものです。
posted by 京都府建築士会 at 00:00|
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京町家・都心居住
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