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2003年05月31日

03年5月31日放送 柚味噌

■柚味噌の八百三
ゲスト:八百三 柚味噌 佐々木修子さん

 1708年創業。白味噌と柚を合わせた独自の製法で、普通の味噌とは趣きを異なる物を作り上げています。戦前は精進料理屋等に下ろしていましたが、現在は対面販売が基本です。初代・八幡屋三四郎が、利休好みを味覚に改善して創作したもので、歴代皇室にも使われていました。

 材料は水尾から取り寄せていますが、柚は季節物なので、お店の蔵に仕込んで貯蔵して、一年を通して味のばらつき無く提供しています。また、蔵という理想の貯蔵庫で漬け込んでおくことで、お店独自の味に仕上げています。云わば蔵が職人なのです。

 柚と味噌が出会って、独特の味を持つ柚味噌が誕生したように、その使われ方も型にはまること無く、いろんな食材と出会って発展を続けています。例えば、洋菓子屋さんがシュークリームの材料として使おうと試行錯誤しておられます。食材としての可能性を引き出してもらっていると思います。

 現在は対面販売を基本としているので、お客さんは観光客から馴染みのお得意さんまで幅が広いです。蔵、加工場、お店、住居と一つにまとまっているため、家内工業として家族でやっていけます。家が古いため、いろんな問題もありますが、この形でやっていきたいです。


◇蔵の役割・貯蔵・再利用
担当:畑正一

 蔵は収納としてだけでなく、発酵食品などを作り上げる微生物や菌の住みかでもあり、それらが働ける理想の空間です。だいどこも通気が良く、冷んやりとした気持ちのいい空間でゆっくりと時間を重ね、漬け物などを美味しく熟成させる「小さな仕込み蔵」と言えます。今の台所は、微生物と共に発酵食品を醸し貯蔵しておく「蔵」という要素がなくなり、料理を作る清潔な「部屋」になってしまった。

 現在、蔵はこれらの役目を与えられず、壊される手間も惜しまれ放置されている物が多い。食生活や防災を支えて来た蔵をもう一度、生き返らすような努力をしなければいけないと思います。
ラベル:柚味噌 京都
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2003年05月24日

03年5月24日放送 畳

■畳職人
ゲスト:福井畳店 福井啓之さん

 分家してから4代目、100年以上は続いていますが、この辺りで100年といっても普通で珍しくありません。綾小路室町にある本家は、名古屋城に畳を入れたらく、名古屋城の鍵が家宝として残っています。

 和室の大きさは、必ず2本の対角線の長さが異なるものです。施工誤差によるものなのですが、畳やふすまなどは一番最後に入れるので、そこで調整する必要があるんです。それが、畳屋が続く理由です。畳は、工場のラインで大量生産ができない物なのです。最近は、機械で現場の部屋の寸法を測っておいて畳を作りますが、この仕事を始めて30年経った今でも、作った畳を現場に持っていく時には、本当におさまるかどうか、ドキドキします。本当におさまるまで安心できません。
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2003年05月17日

03年5月17日放送 表具

■表具
ゲスト:春芳堂 伏原佳造さん




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2003年05月03日

03年5月3日放送 錺匠

■錺匠
ゲスト:竹影堂佳永 中村佳永さん(押小路通麩屋町西入る)

 広く言えば金属工芸で、茶道具、仏具、博物館展示用の文化財の複製なども作っています。もとは刀の目貫(めぬき)、小柄(こづか)を作っていました。金属であれば何でも作ります。特に何とは分けたくない。依頼は表具屋さん、個人などから来ます。

 錺匠は江戸期には大名付きでいましたが、明治になって国が町彫り(民間)を育成するため博覧会などに出展、手先の器用な日本人の仕事は海外での評価も高かった。このような場で、曾祖父が認められました。昔は、やかんひとつでも日常、非日常(ハレとケ)がありそれを作る職人のすみ分けがありました。明治以降は何を作るかで区分するようになりました。<続く>


◇住み継ぐということ
担当:山本晶三

 伝統工法の家は職人さんの仕事が集積です。家を住み継ぐためには、まず、自分の家の状態を知る必要があります。屋根、壁、樋は大丈夫?昔はお出入りの大工さんがいて、点検の時期を見計らって来てくれました。壁などもハレのの時にはさっと上塗りして化粧直しをしてくれるとか。まちづくりセンターでもその窓口をつくろうとしています。...続きを読む
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